佐久の自然を大切にし、佐久で楽しく暮らしていただく家づくりのお手伝いをいたします。

あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その1

 はじめまして。このたび当講座をシリーズでお届することになりました、
「あおくんパパ」と申します。よろしくお願いします。
まずは、簡単に自己紹介します。
家族は、ガチガチ理系の私・文系で最近ガーデニングにハマっている妻・そして工場見学の大好きな(パパのせい?)息子あおくんの三人です。
2004年10月末に「家を建てるぞ!!」と一念発起し、いくつも工務店の見学会巡りをしましたが、土地・建物の両方とも最終的に住まいリングさんにお世話になり、2005年10月末に家が完成して今に至ります。
この家のおかげで、本当に日々快適に過ごすことができています。

 この連載ですが、今回一緒に同封されているピンクのA3版「マインドマップ」という体裁を中心として、その解説という形で進めていこうと考えています。
ところでマインドマップって何??・・・ 
1970年代の初めにトニー・ブザンという人がヨーロッパで大衆化した、効果的な「記憶」・「発想」・「連想」技法で、頭の中にある「考え」や「アイデア」を構造化して明確にできるという特徴をもっています。中心テーマから外に向かって広がる枝を利用した、ビジュアル筆記法ともいえます。
最近では日本でも企業・官公庁・教育機関などで導入され、身近なところではこれを使って授業をする塾も現れてきているようです。

 さて、今回のA3版のマインドマップは、私が家を建てると決めてから、
見学会巡り⇒工務店の決定⇒土地探し⇒間取りの決定と進めていった時系列に従って、私の頭の中にある『理想の住まいを目指すために』という漠然としたテーマをビジュアル化したものです。(いろいろな営業さんが、「すべて私にお任せください!」と言う時の中身もこんな風に見えたら面白いかも?)
A3の紙一面に事細かに書かれた大きな図を見て、「え~~っ、ここまで気にしないと家を建てられないの?」と思われた方もいらっしゃるかも知れません。
でも、私が1年以上かけて学んだこと・経験したこと、そして、今になって振り返ったからこそ書けることが、たったA3一枚で網羅できる!!と思ったらお得な感じがしませんか?

 ということで、今回は自己紹介とマインドマップの紹介でしたが、次回はマインドマップの右上にある『【1】住みたい家を知る』というテーマから説明を始めたいと思います。どうぞお楽しみに!!


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その2

 いよいよ今回から、マインドマップの『理想の住まいを目指すために』の各論に入ります。今回のテーマは【1】住みたい家を知るです。
唐突ですが、長野県にお住まいの方なら、ママ・娘さん・パパの順に自分たちの家に対する熱い想いを歌うあのCMをご存じですよね?
これから家を建てるという高揚感は確かに共感できるものがあります。しかし、夢を夢で終わらせないためにはどうすればいいのでしょうか。
まず、自分たちが住みたい家には何が必要か全て書き出します。
この、「文字にする」という行為が重要です。例えば、システムキッチンにはビルトインの食洗機・お風呂は1.25坪・小さくてもいいから書斎・ロフトに天窓etc・・・そんなのいっぺんに書き出すなんて無理!と思われるいう方は、まず思い付くところからリストを作り始めて、徐々に更新していきましょう。
ところで、このリストは、ご主人や奥様に丸投げしてはいけません(後で必ずもめます)また、営業さんにプランを提案していただくことも可能ですが、必ずしも住まい手の希望と一致するとは限りません。プロの意見は参考程度で、決めるのはあくまでも自分達家族であるという意識が大切です。

 リストには、見学会から得た情報・先輩お施主さんからの情報も反映させます。ここで重要なのは、ご自分がそれらの情報から何を感じ、何を得たかです。
うがった見方ですが、営業は買わせるプロですし、先輩はご自身の理想を語っているだけかもしれません。リストに載せる根拠を常に考えましょう。
 そして、次回の【今住んでいる住まいから学ぶ】と関連しますが、想像力を駆使して、朝・昼・夜・深夜、春夏秋冬、子供の代・孫の代に何が必要か、何がしたいと思うか。も考えておきます(詳細は次回にご説明します。)

 次にこのリストを①絶対に必要 ②できればほしい ③あれば嬉しいが、なくても困らない。の三段階に分類します。いきなり現実的な話になって恐縮ですが、これをしないと実際のプランニングに入った段階で、やっぱりこれも欲しい、あっちが良かった、でも予算オーバー・・・となって、できることもできなくなってしまいます。この三段階リストが家の完成まで使う道標となりますので納得いくまで作り込んでください。

 最後に、一般的な住まいのパンフレットを見ると、標準仕様・オプション仕様という言葉が出てきますが、住まいリングさんには存在しません。作り手の都合ではなく、住まい手のことを考えた家づくりを心がけている工務店だからこそ、この三段階リストが重要な意味を持つことになるのです。

 さて次回は、この三段階リストの完成度を高めるために【2】今住んでいる住まいから学ぶについて考えます。どうぞお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その3

 そろそろマインドマップには慣れていただいた頃でしょうか?
「理想の住まいを目指すには、夢を言葉に置き換え、それを優先度順に三段階リストにしてみましょう。」というのが前回の内容でした。今回は『今住んでいる住まいから学ぶ』ことで、そのリストの完成度を高めます。

 まず、今お住まいの環境で実感・体感されているメリット・デメリットを、こちらも具体的な言葉で表していきます。例えば私の場合は、ベランダの広さ・お風呂の乾燥機能は新居に引き継いだ事柄で、冬場における北側の部屋の結露とそれに伴うサッシの凍結・そして台所の狭さは、是非解消したい懸案事項でした。このような事柄を反面教師として新居のプランに加えてゆきます。

 次に、三段階リストをさらに充実させるために、顕在化していないデメリットを考えます。この『顕在化していない』とは、今は気にならないが将来(子供ができた・自分達の老後etc)問題になりそうなこと。そして、今の住まいに慣れてしまった自分は気にしていないが、初めて来たお客様は案外不便に感じていることなどを指します。例えば・・・

①  部屋と部屋の境に微妙な段差がある。
②  トイレのドアが内開きの場合、中で人が倒れた際に簡単には救出できない。
③  冬場はお風呂・廊下が寒い。
④  リビングから廊下に出て隣の部屋に向かうと、それぞれの扉がぶつかるため、必ず一方を閉めないと次の動作に移れない。

というようなことです。特にドアについては、利き手で開閉したい・押すよりも引く方が都合が良い・実はドアより引き戸の方が便利。という状況が間々あります。賃貸に住んでいると、ついつい体を住まいに合わせがちですが、
体と生活に合う家をデザインする。という視点が重要です。
また、忘れがちなのが「家具」の扱いです。その種類によって①持ってゆく・②新規購入・③捨てる(売る)という可能性があります。①・②の場合は、これも住む家に合わせる必要はなく、家具の寸法を考慮した間取りの設計を依頼することで、納まりの良い間取りにすることが可能です。(お薦めです)。

 一方で、もったいないので家具は全て持ってゆくという考えもあろうかと思います。しかし中には、新生活の中でさして使われず、ただスペースを取るだけ。という家具もあり得ます。捨てる(売る)ことがもったいないのではなく、使わないことが一番もったいないことです。思い切って処分するか、クローゼットの内側に置く見せない収納として活用することで、「SE構法で得られる大空間をそのまま活かす」という方向性をご検討されてみてはいかがでしょうか。

 さて次回は、【3】土地探しについてご説明します。どうぞお楽しみに。


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「理想の住まいを目指すために」その4

 これまでは、自分たちが住みたい家を具現化する方法について考えてきました。今回は『土地探し』のポイントについて考えます。
土地探しが家づくりと決定的に違うのは、家づくり(外構を含む)は自分たちの理想を具現化する作業(建築)が存在しますが、土地とその周りの環境は既にそこに存在するもので、自分たちは手を入れられないということです。

 しかも、その時期その希望の界隈で理想の土地に巡り合えるか確約できない。というお見合い的要素を含んでいます。そのため、住まいの時と同様、自分たちが住みたい生活環境をリストアップして優先順位をつけ、具体的にイメージを膨らませたあとは、その内容を営業さんに伝えて、自分の目でできるだけ多くの土地を見せてもらうことをお勧めします。

 一般に、子育て世代は通学距離が気になりますし、駅・病院・スーパー・ホームセンター・市役所等々・・挙げればきりがありません。参考までに我が家の場合は、住んでいたアパートが岩村田で、佐久ICが近く自然もあり、子供を育てる環境として気に入っていたため、できればそのアパートからそれほど離れていないところが希望でした。岩村田を選ぶ時点で、小学校まである程度の距離があることは承知の上で、それ以外のインフラは車の存在を考えるとあまり制約になりませんでした。ちなみに、営業さんに希望を伝えておくと、土地広告に載る前の優良物件を仮押さえしてもらえることがあります。(新規分譲なのに、なぜか予約済マークが入っている広告を見たことがありませんか?)

 また、格安の土地が本当にお買い得かどうかは、実際にそこを見ないと分かりません。周りは既に家が建ち、後から家を建てにくい雰囲気の売れ残り区画である・隣にお墓がある・元は水田で土地改良を行わないと家が建てられないということがあるかもしれません。一般的に、安い土地には何らかの理由がありますので、営業さんに実態調査を行っていただくことをお勧めします。

 ちなみにこのようなやり取りから、その営業さんは『お客様の希望の土地を探したい』のか、ただ単に『土地を売りたい』だけなのかが徐々に分かってきます。営業さんとの出会いもまた、お見合い同様なのかも知れません・・・

 尚、いい土地であったとしても、建築条件付土地取引の対象は、契約上指定された業者でしか建物を建てられません。とはいえ、この連載を読んでいただいている皆さんには、土地を妥協したくないがために工務店選びを妥協するという選択をしていただきたくありません。できる限り“しがらみ”のない土地探しができることをお祈りしております。

 さて次回は、【4】施主としてというテーマについて考えます。もうすぐ着工というお施主様にも参考になるかと思います。どうぞお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その5

 これまで、自分たちのすまいについて具体的なプランを描いてきましたので、次はそれを実際に手に入れるためにはどうするか、という視点で『施主として』
というテーマを考えます。

 設計図が完成すると、住まい完成までのスケジュールが出来上がってきます。
もちろん、営業さんに任せておけば家は建ちますが、実際に完成してみると、ここはこうしたかった!という先輩施主さんの声も聞かれます。一生に一回の高い買い物です。後悔先にたたずでは済まされません。後悔しないためにはどうするか? 今回の重要なキーワードは「妥協しない」ということです。

 施工後にここはこうしたかったと感じる時、往々にして人は「もう建てた後だし、まあ我慢できないことではないから」と住む家に合わせる努力をしてしまいます。時間は巻き戻せないという事実も、妥協を後押しします。

 しかし、施工途中であれば間に合う可能性も残されています。安易に妥協しないために、いつまでに何を決めなければならないのかのスケジュールを把握し、可能な限り現場に足を運びましょう。そして、不明な点は必ず営業さんや現場監督さんに確認して、その場で解決するように心掛けてください。記憶に頼る必要のないように、カメラ持参で見学することをお勧めします。(その際、撮影の許可をいただく配慮もお忘れなく)ちなみに、かく言う私も、岡村社長にお願いして何か所も追加で対応していただきました。迷った末に相談して、
「私は、物理的・時間的に対応可能なら、何とかしますよ!」と言っていただいた時の喜びと安ど感は、今でも忘れられません。
ちなみに、見学会以外でも施工現場の見学が許されるということは、包み隠さず何でもお見せします。という、自社の建物や職人さんの仕事そのものに対する自信の表れでもあります。逆に拒まれる場合は、何か見られては困ることがあるのかも知れませんので、そのような工務店は要注意です。

施主としてもう一つ忘れてはならないことは、理想の住まいを得るために必要な「予算」を把握することです。一般的に言われることではありますが、住宅ローンは「いくら借りられるか」ではなく「その後の生活の中でいくらなら返済できるか」という視点が重要になります。また、土地・建物以外にも、登記料・火災保険・地鎮祭・上棟祝い・照明・カーテン・引っ越し・追加の家具etcと、何かとお金がかかります。営業さんと相談して、設計・契約の時点で引越し後の生活まで見据えた資金計画を立てることをお勧めします。

 さて次回は、【5】エクステリアについて考えます。家を建てる前なのにもう外構?と思われるかも知れませんが、それにはちゃんとワケがあります。   どうぞお楽しみに。


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「理想の住まいを目指すために」その6

 今回は『エクステリア』について考えます。エクステリアはインテリアの対義語で、外壁や屋根だけでなく外構も含めた家の外側全体を指します。

 家を建てる前なのにもう外構?と、先月も書きました。外壁や屋根は家とセットで考えやすいところですが、実際外構をどうするかは後回しにされがちです。もちろん、家が完成して引っ越しも終わり、季節が良くなってから庭を造る計画を立て、実際に何年もかけてプロ顔負けの外構を手掛ける方もいらっしゃいます(私のお隣さんです)。しかし、必ずしもそのように上手くいくとは限りません。一つは、実際に暮らし始めてから分かる「手間」の問題。そして、もう一つは「予算」の問題です。

 皆さんは、引っ越しが終わってようやく人が呼べるくらいまで片付いたところで、さて次は庭づくりを始めるか!という気分に本当になるでしょうか?
庭をやろうやろうと思っていたらもう5年経ってしまった!という家づくりの先輩を知っています。日々の生活に忙殺されてしまうと、庭のない環境に自分を合わせ、「今から庭を始めるとお金も掛かるし、まあいいか・・」という心境になってしまうことは往々にしてあるようです

 また、一口に外構と言っても、門・フェンス・カーポートのような大物から、物置・ウッドデッキ・庭の芝生・家庭菜園そして、門灯やポストのような小物に至るまで様々な要素があります。これらを設計段階で予算取りしておくことで、無理のない支払い計画を立てることができます。逆に家を建ててから外構を別途計画すると、既に土地と家でローンを組んでしまった後ですので、最悪数百万円の追加支出が発生する格好になってしまいます。ちなみに、土地+家+外構の合計金額は、外構をいつ対応しようと一緒なのでは?と思いがちですが、家とセットで計画することで予算オーバーを抑制することができます。

 また、家と街並みの調和という観点からも、家とセットで準備しておくことは意味のあることです。

 最後に外壁や屋根ですが、色や模様を決める際は、パンフレットだけではなく、実際のサンプルを太陽光の下で手に取ってみていただくことをお勧めします。(印刷で見るのと、太陽光で実物を見るのとでは、天と地ほどの差があります)また、最近はメンテナンス性を重視した対候性(雨風・紫外線にさらされて劣化することを防ぐ)・防汚効果の高い(光触媒による分解や表面のコーティング)商品が沢山あります。目先のコストではなく、ランニングコストを考えた商品選びをお勧めします。

 さて、次回は『【6】間取り』計画について数回に分けて説明していきます。
どうぞお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その7

 今回のテーマは『間取り』です。細かい話はもちろんプロの設計担当者にお任せするとして、私からは間取り決定の際の心構えを中心に説明します。

 間取りの決定に際しては、やはり設計者との綿密な打ち合わせ・意思疎通が不可欠です。第二回で説明した三段階リストを活用して、実際にその家に住んだ状況をシュミレーションする気持ちで図面と向き合ってください。
設計者は、あくまでみなさんの希望を具現化するためのサポーターです。
設計者の提案に妥協することなく打ち合わせを重ねてください。(第二回・第三回連載の住まい講座を参照)。また、パソコンが扱える方は、是非ご自分で図面を描いてみることをお勧めします。設計者の図面と自分の希望が食い違う場合、実際に図面を描いてみると、どこで不整合が発生しているのか、何を調整すれば納まりが良くなるのか、方向性が見えてきます。また、その図面を設計者と共有することで、打ち合わせがスムーズに進みます。

 次に家の形ですが、同じ延べ床面積でも、真四角に近い形で建てる方が価格が抑えられることをご存知でしょうか。これは、外から見て凹凸が少ないシンプルな形状にすることで、構造体の形状・屋根をシンプルな形にすることができるためです。どうしても間取りが整合しない場合、そこを収納にして全体を四角に収めて一石二鳥。ということもあり得ます。外観もまたこだわりの一つではありますが、こういう予算節約法も覚えておきましょう。

 最後に、間取りを決める際の長さの単位である、尺モジュール(1モジュール=91cm)とメーターモジュール(1モジュール=1m)についてです。(住まいリングは基本的に尺モジュールを採用)。皆さんは、「メーターモジュールの方が広い家が建つ」という話を聞いたことがありませんか?尺モジュールの一畳は182cm×91cm・メーターモジュールは2m×1mなので、部屋や廊下が広くなり、家が広くなる!!という論法です。ちょっとその気にさせられますが、同じ値段で広い家が建つとは誰も言っていない点にお気付きでしょうか。ここが盲点です。家の価格は、延べ床面積に比例します。メーターモジュールでどこかの部屋を広くしても、価格を同じにするならほかの空間を狭くしてつじつまを合わせる必要があります。メーターモジュール神話には、間取りを決める長さの単位を大きくすれば、同じ間取りでも家が大きくなる(しかしその分コストが掛かる)という事実に、受け取り手を誤解させるような表現上のトリックが仕掛けられているのです。メーターモジュールだから悪い、とは言いませんが、客観的な事実を把握した上で間違いのない工務店選びをして頂ければと思います。

 さて次回以降は、『間取りの各論』として、水廻り・洋室・その他(玄関・階段・和室)として順に説明してゆきます。どうぞお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その8

 今回のテーマは『間取り各論1:水廻り』です。項目が多いので、詳細はマインドマップを参照していただき、ポイントと全体像の説明を行います。

 システムキッチンは、リビングとの位置関係からスタイルが分かれます。最近は対面型が主流ですが、リビングからのアクセス・勝手口との位置関係・冷蔵庫・食器棚の配置を加味すると、複雑なバリエーションが存在しますので、念入りに検討してください。また、機能面は同じでも、外観(扉の塗装方法・表面処理・色)で価格差が出やすいのがシステムキッチンの特徴です。同じコストで一つ上のグレードを選択できるかもしれませんので確認してみてください。また、メーカーによって売りにしているポイントが随分違いますので、営業さんに相談して、ショールームに足を運んでの比較検討を是非お勧めします。

 ユニットバスについては、広さや付帯機能に気を取られがちですが、窓・浴槽・シャワーや物置棚の配置にかなり自由度があることをご存じでしょうか?
ショールームや完成見学会を参考にして、使い勝手の良い配置を研究してみてください。また、ユニットバスは、いわゆるカラリ床(水の表面張力を壊して床の水はけ・乾燥を促進。防カビ効果が高い)や室内乾燥機能・そしてスピーカーが付いたものまで、日々進化を遂げています。是非ご自身でご確認下さい。
トイレについても、いろいろな機能があり目移りしてしまいますね。洗浄暖房便座以外での選択ポイントは、便器の防汚処理・節水性・便座暖房機能の節電性になるかと思います。ちなみにタンクレスは最近の流行りですが、水圧の関係でお勧めできないケースもあるようですので、工務店と相談してみてください。また、トイレ内収納についても、トイレと一体で購入・造り付け・手持ちの持ち込み等、様々な選択肢がありますので忘れずに検討してください。
洗面台ですが、手洗い・メイク・洗顔中心か、洗濯・脱衣室の機能も必要かで、何を選ぶかが変わってきます。また、蛇口周りの水切れの良さと掃除のしやすさを考慮した作りになっているかどうかも確認してください。

 最期に、水廻りは家の間取り決定における最重要課題です。一般的に家事動線を考えた間取りを、と言われています。しかし、誤解を恐れずにいうと、理想の住まいを手に入れる目的は家事ではなく、その家で日々健やかな生活を送ることです。家事動線と生活動線の兼ね合いを考えた間取りを目指しましょう。また、住宅設備は非常に高価な買い物です。展示場やCMにある業者イチ押しの最新機種につい目を奪われ、自分の将来の生活を重ねてしまいがちです。

 しかし、そこは冷静に、第二回で説明した三段階リストで優先順位を確認しながら、家族構成と生活スタイルに合ったものを選択していただければと思います。さて次回は『間取り各論2:洋室』を説明します。どうぞお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その9

 今回のテーマは『間取り各論2:洋室』です。主寝室・子ども部屋・収納に分けてご説明します。

*「主寝室」
ですが、改めて意味を調べてみますと・マスターベッドルーム・すなわち一家の主(夫婦)の寝室という意味でした。(主に寝るための部屋、ではないんですね。。。)大人二人がシェアする空間・あるいは家族そろって寝る空間ですので、必然的に大きめの部屋が理想と言えます。

 そこにある部屋数で用途をやりくりするアペートとは違って、新たに家を建てる際には、主寝室をただ寝るための部屋としてではなく、そこにどういう用途を加えたいか?という視点が重要になります。ウォークインクローゼットがある・ご主人の書斎にアクセスできる・奥様の読書や趣味スペースがある。深夜のことを考えて、トイレ・洗面所へのアクセスが容易・・等々。(ちなみに我が家は、南向きに主寝室と子ども部屋が並んでおり、ベランダもつながっているため、家族の布団を一気に干すことができる広さを確保しています。)

*「子ども部屋」
ですが、最初は大部屋で設計し、必要に応じて個室に分けられるような間取りにするのがお勧めです(いわゆるスケルトン&インフィル)。その際、個室に分けたときのドアの位置・収納・照明・窓・冷暖房の位置も十分に考慮しておきます。また、ロフトを考えている方もいらっしゃるかと思います。増える一方の子供の荷物置き場。そして子供の(パパの?)秘密基地としての用途もありますね。とはいえ、楽しい話だけでなく、安全性への配慮
(落下防止・頭をぶつけないためのクッション材)も忘れないでおきたいものです。また、コンセントやLAN配線・照明の必要性も合せて検討しましょう。

*「収納」についてですが、間取りの一回目でご説明したように、実際に間取りを考え始めると、微妙な不整合・空きスペースが生じます。逆に、その近辺を収納にして間取りを組み立てるようにすると、納まりもよく仕上がることがあります。但し、一回で決まることはほとんどありませんので、ここは気長に検討していただきたいと思います。クローゼットは、その収納力を決める幅・奥行きと棚・ハンガーパイプの関係、そして出し入れや干渉の有無に影響する扉の種類を中心に検討してください。余談ですが、新居で収納を十分確保したとしても、引越しの際に文字通り棚卸しを行い、不用品を売る・捨てる決断をしてから必要な荷物だけを運び込まないと、早晩荷物であふれた生活に戻ってしまいます。引っ越し後に分別する気は絶対起きません(保証します)。新居の喜びを満喫するためには、引越し前日までが勝負です。

 さて次回は『間取り各論3:その他(玄関・階段・和室)』を説明します。
どうぞお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その10

 今回のテーマは『間取り各論3:その他(玄関・和室・階段)』です。
使い古された表現ですが、「玄関」はその家の顔であり、その雰囲気・デザインひとつで、その家の第一印象が決まると言っていいでしょう。玄関ドアそのもののデザインと建物との調和・照明や壁紙・明りとりの窓・飾り棚(ニッチと呼ばれる、壁を凹状にくりぬいた飾り棚もあります)でどのように魅せるか、という点に加えて、下駄箱・クローゼットの収納力を確保して、玄関が行き場の無いモノたちの物置と化さないような配慮が重要です。そのような配慮の一環として、来客用と家族用の玄関/収納を分けるような作りを工夫されているお宅もあるようです。また、玄関は家の中で一番寒い場所です。玄関扉の断熱性能にも気を使いましょう。

 次に「和室」ですが、我が家の場合は和室を客間用途(結局、今は家族の寝室になっていますが)で考えていました。そのため、皆さんにアドバイスできることはあまり無いので大変恐縮なのですが、強いて申し上げれば、生活スタイルや家族構成で和室の位置付けが変わってくるということです。将来のご両親との同居を視野に入れるのか、自分たちの生活空間としての機能を重視するか、あくまでも客間としての位置付けか、そして床の間/仏間/収納をどうするかといった点をスタート地点にして、検討を進めていただければよろしいかと思います。また、床柱(床の間と床脇の間におかれる一番太く目立つ柱)・壁紙・障子・畳・畳縁などもご自分で選ぶことになりますので、サンプルや実際の材料を見ながら、和室のイメージをふくらましてください。

 最後に、玄関がリビングに直接つながっており、帰宅すると必ずリビングを経由してから階段に向かうことになる『センターリビング』デザインをご存じでしょうか。家族とのつながり・温もりを感じられる間取りであり、ぜひお勧めしたいと思います。そこに登場する「階段」ですが、単に一階と二階をつなぐ通路であるだけでなく、一階/二階それぞれの階段周りの間取り、そして収納を決める重要な要素であると考えるべきです。二階の階段の周りには特に、他の部屋との兼ね合いで微妙な広さのただの廊下になってしまうことがあります。明り取りの窓・飾り棚・収納・トイレ/洗面所との位置関係を考慮して、心地よい空間づくりを工夫してみてはいかがでしょうか。

 また、階段下は、格好の収納スペースとなります。最近の階段は、安全性の配慮から、踊り場の確保や折れ曲がり階段が主流となっていますので、階段下の空間も複雑な形になっています。物置の入り口を分けるなどして、デッドスペースの有効利用をお勧めします。

 さて次回は『壁・天井・照明』をまとめて説明します。どうぞお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その11

 今回のテーマは『壁・天井・照明』です。これらは、構造や間取りと比べるとどうしても後回しになりがちですが、それぞれの部屋の印象、ひいてはその家全体の雰囲気を決める重要な要素ですので、慎重に検討したいものです。
「壁」についてですが、まずはどういう材料がいいかを考えます。真っ先に思い浮かぶのは壁紙ですが、板張り・珪藻土・漆喰のように、壁紙以外のバリエーションもありますので、気になるものがあればサンプルを見せていただくと良いでしょう。また、サンプルから気に入ったものを選ぶ。というだけでなく、どのような機能を考慮するか(傷に対する耐久性・調湿・防汚・消臭etc)という観点もチェックしてみてください。壁の選択は部屋の数だけ行う必要がありますが、部屋ごとに変えて個性を取るか、洋室・和室それぞれで変える程度で、家全体としての調和をとるのか、決める必要があります。そして、家具やカーテンといった、部屋の中で色を主張するものとの相性についても検討すべきです。

 次に、「天井」ですが、クロス張りにするのであれば、壁紙の延長で同じ材料にするか、天井と壁を分けるか、という選択。そして、天井にも木の存在感が欲しいとなれば、現し天井や品べニヤのような板張りにするという選択肢もあります。また、SE構法の場合は、構造体の集成材やSE金物を見せるか見せないかで、部屋の印象が変わってきます。なお、特に二階の天井は、建築を始める前に決めておかないと後戻りができないケースがありますので、いつまでに何を決める必要があるのか、忘れずに工務店に確認しておきましょう。

 「照明」についてですが、新しい家だからといって全て新規購入する必要はなく、現在使用している照明の再利用が十分可能です。但し、その照明器具が新居の部屋の大きさに対応していないことや、形状・デザイン性によってはふさわしくないこともあります。再利用は、勝手口・ウォークインクローゼット・書斎といった家族用の部屋で活用して、リビングやキッチン・新たにしつらえた子供部屋などは、それぞれの用途に応じた物を準備してみてはいかがでしょうか。また、照明には暖色系・寒色系があり、その機能面のみならず精神面への影響もあると言われています。部屋の目的に応じた色の選択も念頭に置いてください。省エネの観点からは、LEDランプという選択肢もあります。初期投資としてはまだまだお高い印象がありますが、もう少し値段が落ち着いてくれば、高品質・長寿命で、ランニングコスト削減に貢献できると思います。

 さて次回は、『配線』について説明します。コンセントやTV端子は、部屋に勝手に付いてくるもの。ではありません。どうすれば、暮らしやすさを追求できるのでしょうか。次回をお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その12

 今回のテーマは『配線』です。前回の終わりにも書きましたが、アパートに引っ越してくると、コンセントやTV端子は既にそこに¨存在するもの¨です。
しかし、理想の住まいを考えていらっしゃる皆さんには、それぞれの生スタイル・各部屋の目的に合わせた配線計画を立てていただきたいと思います。

 やはりここでも、基本は「今の住まいから学ぶ」です。コンセントがどうしても家具の裏にくる。あるいは家電の配線でコンセントまで届かないため延長コードを使わざるを得ない場所や、TV・ビデオ・オーディオ・電話・携帯充電器等が密集して、タコ足配線になっている場所はありませんか?コンセントは、口を増やせばいくらでもつなげられる。という訳ではありません。延長コード・タコ足配線は、家具による踏みつけ・隙間への埃の堆積・電気容量オーバーによる発熱火災の原因となり、大変危険です。

 また、逆に、今の住まいで全く使わないコンセントはないでしょうか?コンセントはある程度の数があればいいし、使わないものは気にしない。という認識では、結局延長コード・タコ足配線に頼ることになってしまいます。新しい住まいでは、生活動線・家事動線(特に掃除機の使い勝手)のコンセプト・家具、家電の配置に合わせ、必要な場所・高さに、必要数+αのコンセントの口数を準備しましょう。そのために、過去11回の講座をベースにして、間取りの検討を十分に行って下さい。冷蔵庫・電子レンジ・生ゴミ乾燥機・洗濯機のようなキッチン・水廻りの家電には、漏電防止のためにアースが必要となります。

また、エアコンを設置する場合は、コンセントが特殊な仕様になります。工務店と十分なすり合わせを行ってください。

 次にTVですが、地デジとBS/CSがあり、TVとビデオそれぞれに接続する機会は引越しや買い替えくらいしかないため、何度経験しても慣れないものですね。室内にTV端子が一つしかない場合は、TVの手前で分波器を使って地デジとBS/CSの信号を分ける必要があります。しかし、新築の場合最初からそれぞれの配線を屋内に引き込んで、TV端子とBS/CS端子に分けることが可能です。その方が、屋内配線がすっきりして分かりやすくなりますので、必要に応じて工務店と相談してみてください。また最近では、電話・インターネット・TVと、光回線につなぐ予定がある方もいらっしゃるかと思いますので、そちらも事前に工務店に伝えて、最適な屋内配線を検討してもらってください。

 さて、今回で12回を数える本講座ですが、第1回でご紹介した大マインドマップの小区分を、これで全て解説したことになります。次回は、最終回として、『理想の住まいを目指す皆さんに伝えたい3つのこと』と題してお送りします。また、大マインドマップの改定版もお届けします。どうぞお楽しみに。


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あおくんパパの住まい講座

「理想の住まいを目指すために」その13

 今回は、最終回として『本住まい講座のまとめ』を行いたいと思います。この一年間を通して、私が理想の住まいを目指す皆さんにお伝えしたかったことは、以下の3つに集約されます。

① 
事実をつかんで、客観的な目線で判断すること。
②  理想を具体化し、実現させる方法を知ること。
③  妥協しないこと。

まず①ですが、『家』はあまりに大きな買い物すぎて、何を調べていいのか・何を信じていいのか、分からなくなってしまいがちです。

車なら試乗し、家電なら量販店で実物を見て、パンフレットで仕様を比較する方も多いかと思います。しかし、こと家に関しては、営業さんの「私に任せてください」の一言で、思考停止に陥ってしまうのが現実のようです。
施主自らが見学会や説明会に足を運び、考え、吸収する中で、ご自身の判断基準を作り上げてください。また、情報は、集めようと思えばインターネットでいくらでも集められる時代です。判断基準を明確にして、不要な情報を捨てることで、本当にやりたかった家づくりが見えてきます。

②は、講座の中で何度も取り上げてきた、家づくり三段階リストのことを指します。自分たちが描く理想の住まいについて徹底的にリストアップし、これ以上ないレベルまであえて発散させた後に (1)絶対に必要・(2)できれば欲しい・(3)あれば嬉しいが無くても困らない の三段階に収束させます。
想いや言葉を文字にするという行為を通して、初めて自分たちの理想の住まいに向き合うことができ、そこからようやく本当の家づくりが始まるのです。

そして最後は、『妥協しない』こと。皆さんが手に入れるべきは、会社が売りたがっている稼ぎ頭の商品ではなく、家族の理想を形にした住環境・空間です。私が読者の皆さんと一緒に目指してきたのは、『家選び』ではなく『家づくり』。営業さんの言いなりになる事はありません。①と②を実践した上で、妥協することなく、理想の住まいを目指して着実に前進していただければと思います。

 最後に、添付の大マインドマップですが、これまで各論を展開した結果として、一年前に作成した物の増補版が完成しました。番号順に読み進めていただくことで、この1年間の講座を概観できるかと思います。

 さて、『あおくんパパの住まい講座』如何だったでしょうか。素人の戯言ではありましたが、皆さんのこれからの家づくりの参考になったとすれば、これ以上の幸せはありません。そして、皆さんの理想の家づくりのパートナーとなる工務店との素敵な出会いがありますように、心からお祈りしています。

一年間、どうもありがとうございました。


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